【ウサギ】わが家にパンダがやってきた!ダッチと楽しく暮らす

 

ダッチウサギ……といってもピンとこないかもしれません。日本では「パンダウサギ」として有名な白と黒のツートーンがたまらなくキュートなウサギです。パンダブームに乗って一世を風靡したダッチ。盛りがあがっている本家パンダの余波を受けて流行再来!?



ダッチ(パンダウサギ)の歴史

ダッチとは「オランダの」という意味です。オランダで生まれた純血腫、最も古い品種のひとつで1864年にイギリスで血統を認められました。現在、純血腫として登録されている品種の中にはネザーランド・ドワーフのようにダッチの遺伝子を持つものがたくさんいます。本国よりも日本やアメリカで人気があります。

ダッチの特徴

ピンと立った耳とちょんと尖った鼻、バランスの取れた頭と胴体の比率のシルエットはウサギのスタンダードです。

一番の特徴は白と黒のツートーン模様。耳と目のまわり、後ろ半身は黒。額から鼻先、顎から胸と前脚が黒です。くっきりと分かれたパターンがパンダに似ているため日本では「パンダウサギ」の愛称で呼ばれています。

平均体重は1.5〜2.5kgと大きさもミニウサギのスタンダードサイズです。大きくなっても1kgそこそこの更に小さいダッチも登場しています。

1960年代に日本に入ってきたのはこのミニウサギタイプです。それまでウサギは外の小屋で飼うのが当たり前でした。室内で飼えるダッチは狭い住宅や団地に住む都会の住民を中心に大ブームを巻き起こします。一時はお祭りの屋台で「大きくならないウサギ」として売られていたこともあります。もっとも屋台のウサギの多くは実際には一般的なイエウサギで、買って帰ると模様が剥がれ、数ヶ月で猫よりも大きくなってしまうことがよくありました。

ダッチの毛色タイプ

パンダを思わせる白と黒のツートーンの印象が強いダッチですが、茶系のダッチオレンジ、グレー系のダッチブルーなどカラーバリエーションは豊富です。

飼いやすいダッチの性格

ダッチの性格はおとなしく人によくなれます。

ウサギは攻撃的な性質ではありません。どちらかといえば臆病な動物です。しかし、飼育環境が悪いとストレスから怒りっぽくなって噛みついてくることもあります。ダッチはストレスにも強く機嫌が悪くても飼い主を攻撃することはまずありません。臆病な本能も薄いので人なつこくて温厚です。初めてウサギを飼う人に向いている品種といえます。

ダッチ飼育のポイント

・こちらから相手をしてやる

ケージの中で日がな一日のんびりしているタイプです。こまめに運動させる必要はありませんが、放っておけば向こうもこちらを無視するだけで関係性が深まっていきません。

本来は驚くほどひとなつこい性格なので相手をしてやれば飼い主をキチンと認識します。1日のうち30分から1時間くらいは一緒に遊んでください。

・ケージは広すぎないものを

ウサギは犬や猫とは違い広いスペースを喜びません。もともと地面に掘った巣穴に住んでいるくらいですから体を常にさらしているとストレスがたまります。

ケージの広さは、飼育用具を置くスペースの他に、ウサギがくるりと向きを変えることのできる場所があれば充分です。

・ダッチの餌は牧草

ホームセンターやペットショップで売っている安価なペレットの多くには牧草以外の様々な原料で水増ししたものや、品質はよくてもそれだけやっていると栄養過多になってしまうものもあります。ウサギには基本的に牧草をメインに与えてください。

市販の牧草は「アルファルファ」か「チモシー」です。アルファルファは和名をムラサキウマゴヤシといい「ウマが肥える」ほど栄養価の高い植物です。カルシウムも多く含んでいるので成長期や妊娠・子育て中に与えるのに適しています。

チモシーは高繊維質の牧草です。チモシーを前歯ですりつぶすことで歯の長さを調整できるくらいの繊維があるため、歯や内臓が未発達の子ウサギには向いていません。低タンパク高カルシウムなので成長したウサギに向いています。

ウサギの成長に合わせて食事内容を変えてください。いずれにしてもメインは牧草。ペレットは栄養を補助する程度に与えるようにします。

ダッチのしつけは「無理をせず」が互いの幸せ

ウサギを犬のようにしつけようとしても無理があります。野生では同じように集団で暮らす生き物ですが、犬の祖先であるオオカミは狩りをして食物を得るのに有利なので集団で暮らしています。そのため群れはリーダーが統率して上下関係もハッキリしています。

ウサギが集団で暮らすのは危険をいち早く察知するためです。草を取ってきて分け合って食べたりするわけではないので群れの中に上下関係はありません。人を自分のリーダーと認めて従う犬とは違います。

ウサギにしつけるのはトイレだけで充分です。それだけでウサギも飼い主も大変な苦労をしますから、それ以上のことを求めない方がお互いのためです。

上手につき合えばしつけの過程で、自分の名前と飼い主が誰であるかは認識してくれます

一緒に暮らす上で注意したいポイント

・ウサギに甘えない

ダッチは他のウサギよりも我慢強い性質を持っています。飼育環境が多少悪くても態度に表さないことが多いので、その分、飼い主が気を使ってください。ダッチに合わない環境が続くと機嫌が悪くならなくても体調が悪くなってしまいます。いつでも毛づくろいをしているときは要注意です。ストレスがたまってくると毛づくろいの回数が多くなります

・ブラッシングは欠かさない

ダッチに限らずウサギは毛づくろいで飲み込んだ毛を猫のように吐き出せません。胃腸に毛がたまるとやがて毛玉になり、胃や腸の通路を塞いでしまいます。これが毛球症(ヘアボール)です。ひどくなると腸閉塞などを引き起こし命に関わります。

毛球症の予防には日々のブラッシングがなによりです。ダッチは人なつこい性格なのでスキンシップが大好きです。ブラッシングは抜け毛だけでなくストレスも取り除いていくれます。日々触れていれば皮膚にできた異常、腫れ物や寄生虫(ノミやダニ)を見つけることもできます。

・耳のお手入れは丹念に

ウサギの長い耳は離れた音を聞き分けたり、空気中の気配を察したり、体温調節をしたりと大切な器官です。開放部の表面積が大きい分、傷や汚れがつきやすくなっています。傷から細菌が入れば外耳炎などの炎症を起こします。耳垢も耳の中を腫れさせる原因になります。不衛生にしていると耳ダニも発生しやすくなります。ブラッシング時には耳のケアもセットで行ってください。


まとめ)ダッチは初心者にも上級者にも向いています

日本人が一般家庭でウサギを飼うきっかけをつくったのがダッチです。大ブームだった70年代にはテーブルの上でも飼えるということで「テーブルラビット」の名前で売られデパートでも扱っていたくらいです。サイズだけではなく、ダッチは、丈夫で性格がおとなしく人なつこいため飼いやすい品種です。ウサギを初めて飼う人に向いています。

ダッチでウサギに入門して、大型種のフレミッシュジャイアントやチンチラウサギを飼うような人でも、自身が年をとるとまたダッチに戻ってきます。

ウサギを飼ってみようか、そう考えているならダッチと一緒に暮らしてみるのをおすすめします。ダッチと一緒にウサギたちの奥深い世界を巡る旅に出てみませんか。

関連する記事