「名は体を表す」……ライオンラビットはたてがみのような飾り毛と短めの耳が特徴のウサギです。ペッとしての歴史はまだまだ浅い種類ですが、その分、個性派揃いでオンリーワンの個体に出会える可能性の高くて飼う楽しみが大きいウサギです。
ライオンラビットの歴史
ライオンラビットの故郷はベルギーです(諸説あります)。小型のアンゴラ種や長毛種のジャージーウィリーなどを掛け合わせて生まれました。その容姿から「ライオンヘッドラビット」とも呼ばれています。まだ新しい品種で血統が安定していないため純血腫としては認められていません。
ライオンラビットの特徴はモフモフ
ライオンラビットの特徴は、なんといってもフサフサの毛です。たてがみのような飾り毛以外の毛が短い子もいますが、総じてフワフワモフモフです。耳が短いのも共通した特徴で飾り毛の立派な個体になると、毛の中に耳や顔、首までが埋もれてしまって、ぱっと見ではウサギとはわからないくらい愛嬌のある子もいます。
とはいえ、小柄なドワーフ・ライオン、耳が垂れているライオン・ロップなどたてがみ以外は異なった見かけのウサギもライオンラビットに含まれるので、短毛でサラサラした毛や硬めの毛の子もいます。
紹介されてから日が浅いこともあり、日本ではライオンラビットといえばフワフワモフモフの代名詞のようになっています。
種類によりますが体の大きさは25〜30cmくらいまで大きくなります。体重は最も小さいドワーフ・ライオンで1〜1.3kg、他は3kg程度です。
ペットとして飼育されている歴史が浅く、寿命についてはデータ不足です。大体5〜10年といわれています。
ライオンラビットの性格は十人十色
ライオンラビットは種類として血統が安定していないのと、飾り毛と短めの耳という共通点以外では個体によって差があるため「ライオンラビットといえばこれ」といった性格が決まっていません。活発な子も穏やかな子も、好奇心旺盛な子もいれば臆病な子もいます。
ただ、どの種類でも確立したペットウサギ同士の交配で生まれたので、人なつこくて賢い性格は、飾り毛同様共通しています。頭が良く名前を覚えることもできる飼いやすいウサギです。
ライオンラビット飼育のポイントはモフモフキープ
最初からペットとして生まれたため飼いやすい性格と容姿に特徴のあるのライオンラビット。飼育のポイントはなんといってもフワフワモフモフの毛のお手入れです。
・ブラッシングでフワモフキープ
様々な毛のパターンがあるライオンラビット、顔のまわりのフワフワの飾り毛はみんな一緒です。毛の美しさと質感を保つために日頃のブラッシングは欠かせません。被毛の長い動物は手入れが行き届いているか不足しているかひと目でわかります。それだけお手入れのしがいがあるということです。面倒がらずにブラッシングすれば極上のフワフワモフモフのさわり心地が待っています。
ブラッシングはペットとのスキンシップの基本です。毛をなめるわけにはいきませんがブラッシングすることでそれと同じくらい仲間意識、家族の結束を高められます。
余計な毛を飲み込むことを防ぎ、皮膚に直接触れることで、でき物などの異常にも気づけます。ブラッシングはウサギの健康を守るためにも重要です。
・遊ぶ・褒めるは一定の態度で
ライオンラビットは品種が安定していないのでミックスの要素を多く残しています。そのため、賢くて独立心もあり、飼い主の行動をしっかりと見ています。
飼い主がその日の気分で遊ぶ時間を短くしたり、止めてしまったり、いつも褒めているシーンで褒めなかったり、叱らないようなことで怒ったりすると不満を持ちストレスがたまります。気分次第の手抜き飼育を見定める能力を持っています。
自分の感情をぶつけたり、気分で扱いを変えているとウサギに見限られてしまうかもしれません。
・ケージは広すぎず、狭すぎず
野生のウサギは巣穴を掘って暮らしています。運動できるスペースは必要ですが、広すぎる場所では本来の警戒心が先立ちになってリラックスできません。ウサギが落ち着いて過ごせる場所を作ってください。
家の中ではケージが巣穴の役割を果たします。餌箱や給水器、かじり木などのおもちゃを置いたあとにギリギリ運動できるスペースがあれば充分です。
運動は1日1時間くらい、ケージから出すか、広いケージ移して自由にさせてあげましょう。
・ウサギのゴハンは牧草が一番、ペレット二番
ウサギのメインディッシュは牧草です。「これだけでOK」というペレットフードもありますが、ペレットは食事の補助、二番手に位置づけてください。
ライオンラビットは前歯の長さを牧草をすりつぶしながら調整する習性があります。栄養価の面だけではなく、その点でも牧草を与えることが大切なのです。
新鮮な水の準備も忘れずに。
トイレのはしつけは大らかに、気長に
ウサギにトイレの場所を覚えてもらうのは大変です。野生動物にとって尿や便は単なる排泄行為ではなく縄張りを主張する意味合いが強いからです。犬や猫も同様ですが、ペットとしての歴史が長く人とのコミュケーション能力も優れているので、しつけによって容易に野生の本能を抑えることができます。
ウサギはペットとしての歴史が浅いためまだ本能が色濃く残っています。その分、一定の場所をトイレだと覚えさせるのは大変です。トイレ以外での排泄についてはある程度の諦めを持ちましょう。
その上で、トイレ以外の場所でやってしまったときはニオイを残さないように処理し、トイレにニオイのついたものを置いて誘導したり、部屋のあちこちにトイレを置いたり、尻尾をあげるトイレタイムポーズを見かけたら抱いてトイレに移動するなど気長に大らかにしつけてください。
ライオンラビットを飼育するときのチェックポイント
・気温の変化に敏感です
耳が短くてふさふさの毛で覆われているライオンラビットは体温調整が苦手です。適正温度の15〜25度を大きく下回ったり越えたりする環境に長く置かれていると、体調が悪化して死んでしまうこともあります。
夏場と冬場は特に注意が必要です。エアコンで常時室内を適温に保つか、ペット用の保冷剤や暖房を上手く使って体温調節をサポートしください。エアコンの風や直射日光が当たらない場所にケージを置くことも肝心です。
・野菜はおやつ、やり過ぎると太ります
ウサギはニンジンやサツマイモ。カボチャ、キャベツが大好物です。でも、これは人間でいえばお菓子に近い感覚の食べ物、栄養もカロリーも多すぎるので毎食与えていると肥満の原因になります。水分も多くお腹を壊すこともあるので、ご褒美やおやつ程度にとどめておきます。
・かかりやすい病気
ウサギ全般がかかりやすい、外耳炎や耳ダニ、骨折、皮膚病のソアホックへの予防が必要です。
特に毛球症には注意してください。ウサギは毛づくろいで飲み込んだ毛を自分で吐き出せません。毛足の長いライオンラビットは胃腸に毛玉がたまりやすく、胃腸障害を引き起こす毛球症にかかりやすいといわれてます。
毛球症は定期的なブラッシング、トリミングといったグルーミングで防げます。
まとめ)ライオンラビットはシンボルマーク
たてがみのような飾り毛と短い耳。後ろ足で座っているとまるでミニチュアのライオンのようなライオンビット。キャラがたっているので一緒に暮らしていると自分家を表すシンボルマークのように思えてきます。
血統、品種とも安定していないため国際的にはまだまだ認められていませんが、だからこそ様々な個性が存在していてオンリーワンの存在を見つけやすい種類です。ファンになれば、これからどう血統が確立されていくのかを見届ける楽しみもあります。