【ウサギ】青灰色の毛並みで魅了するチンチラウサギを迎える

高級毛皮のステータス「チンチラ」。なめらかで美しいチンチラと同じ毛並みを手に入れようと試行錯誤の果てに生み出されたチンチラウサギ。美しい毛皮で着飾る時代は過ぎ、今はその手触りとぬくもりに心を癒やされる時代になりました。貴婦人のようなチンチラウサギをわが家に迎え入れましょう。



チンチラウサギの歴史

チンチラウサギは、高級毛皮の原料として捕獲されていたチンチラ(ネズミの仲間、ウサギと区別するためにチンチラネズミとも呼ばれる)の毛皮に似せた毛並みを持たせ代用として使うために品種改良されてつくられました。

チンチラには「アメリカンチンチラ」と「ジャイアントチンチラ」、「スタンダードチンチラ」の3種類がいます。どの品種も1920年代に公認品種として登録されています。

チンチラウサギの特徴

チンチラウサギにはアメリカンチンチラ、ジャイアントチンチラ、スタンダートチンチラの3種類がいます。どの品種もチンチラネズミに似た美しい青灰色の毛並みを持っています。毛皮を獲るためにつくられたので比較的大きく育つことも共通しています。もうひとつ同じなのは知能がとても高いことです。

チンチラウサギの3タイプ

・アメリカンチンチラ

名前の通りアメリカ生まれです。スタンダートチンチラと大型種を交配させました。一本の毛に4色のリング状のカラーがあります。体が大きく平均体重は5.5kg。おとなしい性格で子供をたくさん産みます。母性本能が強いので子育て中は刺激しないよう注意が必要です。他品種のウサギよりも早く成長します。純血腫は絶滅危惧種だといわれています。

・ジャイアントチンチラ

アメリカ原産です。チンチラとニュージーランド、大型種、ホワイトのフレミッシュジャイアント、ブルーアメリカンを掛け合わせてつくられました。フレミッシュジャイアントに並ぶ大型種で平均体重は7.5kgです。多産で成長も早く生後2ヶ月で3kgを越えます。生産性を要求される家畜として優秀な特徴を備えています。

・スタンダートチンチラ

フランス生まれのチンチラ種のベースです。先祖はヒマラヤンとベファレン、野生のアグーチカラーです。この種の中では小さめで平均体重は3.5kg。ウサギとしては大きいサイズです。賢くて人によくなつきます。好奇心旺盛で動きも活発です。

・おまけ・チンチラってどんな動物?

チンチラはネズミの仲間です。齧歯目なのでウサギとも仲間といえます。南米アンデスの山岳地に集団で生活しています。体長は25cmくらい、尾の長さは17〜8cm、体重500g程度でネズミといっても大きめです。

銀灰色を基本としたバリエーション豊富な毛皮が美しく、毛皮目的で乱獲され20世紀初頭には絶滅寸前に追い込まれました。今では養殖できるようになって、ペットショップでも販売されるくらい普及しています。

猫にもチンチラという種類がいます。ペルシャ猫の毛色の1つで独立種とは認められていません。毛色もシルバーやゴールドが一般的なのでチンチラとの共通点は見つけられません(毛がフワフワだから?)。

チンチラウサギ飼育のポイント

チンチラウサギは大型です。一番小さいスタンダードで平均体重が3.5kgあります。日本で人気のあるネザーランド・ドワーフやミニロップは1〜1.5kgなので倍以上の大きさです。ジャイアントチンチラだと7.5kg。これは世界最大級のウサギ、フレミッシュジャイアントと変わりません。

・飼育には充分なスペースを

小型犬を室内飼いするのと同じスペースが必要です。アメリカンチンチラやジャイアントチンチラを飼いたいなら更に大きな中型犬クラスの設備を整えなくてはいけません。ケージはウサギ用ではなく犬用を用意しましょう。

広いといっても犬のように駆けずり回るためのスペースはいりません。ウサギは巣穴で暮らす習性がありますから、広すぎる場所では警戒しすぎてストレスになります。方向転換が自由にできれば大丈夫です。それでも、ゴハンの器、給水器、巣箱などを置く場所を考えるとかなり大きな場所が必要です。

・適温を保つ環境を

ウサギは耳を使って体温を調整します。しかし、逃げ場のない室内での激しい温度差や急な温度変化には対応できません。夏場と冬場はエアコンを使って20〜25℃の室温を保ってやります。猛暑や極寒の時はペット用の保冷剤やヒーター、電気マットなどで調整してください。

エアコンの風が直接当たると乾燥しすぎますし、直射日光は苦手です。ケージを置く場所にも注意します。

・ブラッシングは欠かさずに

チンチラウサギの自慢はその毛並みです。美しく保つために日々のブラッシングは欠かせません。ストレス解消にもなります。チンチラウサギは賢いのでスキンシップによって飼い主をしっかりと認識してくれます。毛並みと一緒に心のケアもできるブラッシングの機会を大切にしてください。

・チンチラウサギの主食は牧草

ウサギは草食動物です。食事はペレットフードだけに頼らず、本来の食べ物である牧草を与えてください。成長期にはカルシウムの含有量が多いアルファアルファなどを、大人になったら繊維質の多いチモシーに変えるなど年齢に合わせて適したものを与えてください。

・野菜や果物は補助食

ウサギの好物・ニンジンやカボチャ、キャベツといった野菜類はよく食べてくれますが、栄養価が高すぎます。リンゴなどの果物も同様です。おやつ程度、補助食として与えてください。

・餌代は通常の数倍

体のサイズが3倍ですから餌代も3倍以上かかります。治療の際も薬の量は体重によって違いますから、こちらもミニウサギの数倍は覚悟してください。

チンチラウサギはしつけがいがあります

チンチラウサギの大きな特徴は知能が高いことです。他のウサギでは難しいトイレのしつけも比較的簡単です。

ゴハン時や遊ぶときに毎回名前で呼んでやればしっかりと名前を覚えてくれます。賢いだけに飼い主がその日の気分で接し方を変えていると、それがストレスになってしまいます。こちらの感情を抑えて常に一定の態度で接することが大切です。

しつければ応えてくれるので、しつけがいがあります。

飼育時さらに注意したいこと

・肥満に注意

大きな体であまり運動しないように見えますが、監察していると結構ちょこまかしているのがわかります。ケージ中でうろつくスペースは必須です。1日に1時間くらいはケージから出して遊んでください。乳製品や小麦でできたお菓子類はいくら喜んでもあげてはいけません。野菜や果物以外で人間が食べるものはあたえた分だけ寿命が縮まると考えてください。

・かかりやすい病気

チンチラウサギの寿命は7〜10年です。ウサギとしては長生きで20年生きた個体もいます。長い付き合いになります。犬や猫を飼うのと同じ気持ちで飼わなくてはいけません。

・怖いソアホック

ウサギは肉球が発達していません。穴を掘るのに適しているからですが、そのためクッション性が弱く、体重が増えると負荷のかかる足の裏の皮がむけてソアホックにかかることがあります。ソアホックは足の裏にできる炎症です。飛節びらん、足裏潰瘍ともいいます。重症化すると骨髄炎や滑膜炎を発症して脚の機能を失うこともあります。体大きなチンチラウサギは特に注意が必要です。

・耳のケアは入念に

長い耳はウサギのチャームポイントですが、ウィークポイントでもあります。ホコリやゴミが入りやすく、傷がつけば外耳炎を起こすことがあります。耳垢が原因でも炎症が起きますし、不衛生な環境ではダニが発生しやすくなります。

耳は常に清潔な状態を保つように心がけてください。


まとめ)チンチラウサギはファッショナブル

大きな体に艶やかな青灰色の毛皮。太くピンと立った耳。堂々としたそのフォルムはトップファッションモデルを見るようです。飼育は大変な品種ですが、古より愛され欲せられてきたその毛並みと一緒に暮らせるなら……苦労するだけの価値があります。

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