2歳児の感情と5歳児の知能を持つといわれるヨウムは、その名前のイメージと大きな体からオウムの仲間と思われがちです。
でも、実はこう見えてインコの仲間なんですよ。
落ち着いた雰因気を感じさせるグレーのグラデ―ション、その体に映える赤い尾羽がヨウムのトレードマーク。
そんなヨウムは高い知能により優れたコミュニケーション能力を持っているので、魅力的なコンパニオンバードになってくれそうです。
今回は、そんなヨウムの性格の特徴・しつけのコツ・飼い方のポイント・注意点についてご紹介します。
1)ヨウムの紹介
1.原産地
ヨウムの原産国は西アフリカから中央アフリカで、主に低湿地や高地の森林地帯などに分布しています。
ですが現在、ペットショップで販売されているヨウムの多くはシンガポールやフィリピンなど東南アジアから輸入し販売されているようです。
2. 平均体長と体重
体長はおよそ33cmで体重は300g~500g ほどで、ペットとなる鳥の中では中型から大型の部類です。
3.日本で飼育されている数・名前のルーツ
日本で飼育されているヨウムの数については、きちんとしたデーターがないので把握されていないのが現状のようです。
エジプトの象形文字にも使われていることが発見されたことから、古代ギリシア人も飼っていたとの説も残るヨウムの日本語表記は「洋鵡・ようむ」となります。
洋鵡と名付けられたその時代、ヨウムが日本に持ち込まれたのは中国からとの明記された文章が見つかっているようです。
漢字は当て字のようですが、詳細は分かっていません。
4.ヨウムが気をつける病気
見た目以上に繊細なヨウムは、ストレスによる病気があるようです。
もし病気になったとしても普段通りに元気に振る舞うことがあるので普段から観察して少しでも異変を感じたら、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
・胃腸炎
原因・・・エサや飲水の腐敗、その周辺やゲージなど衛生管理が行き届いていない、病原性の微生物による感染、過剰なストレスなどにより発症しやすい。
症状・・・食欲の低下、嘔吐、水様性の下痢、普段よりも水を多く飲むなどの症状が現れる。
予防・・・飲水は定期的に入れ替えて、エサや青菜などは常に新鮮なものを与える。敷き紙はこまめに交換してフンなどをおきっぱましにしないなど、ケージやその周辺の衛生管理を怠らない。
・毛引き症
原因・・・オウムやインコにみられる自虐行為のようなもので、遊んでもらえなかったり精神的なストレスなどにより引き起こす場合がほとんどですが、中には皮膚の乾燥や栄養不良が原因の場合も。脂粉が出るオウムやインコは定期的な水浴びをさせることで、脂粉が羽根内に沈積するのを防ぐ事ができるのですが、その水浴びをしないで放置されたことが原因の場合もありますので定期的に水浴びを行ってあげましょう。
症状・・・くちばしで羽をつついて抜きだし毛がなくなってもなお地肌までつついて出血することもあります。
予防・・・ストレスの原因を取り除くように飼い主が遊んだり相手をしてあげたり、ケージにオモチャを入れて退屈しないように心がける。
栄養のあるエサを与えたり定期的に水浴びを行い脂粉の沈積を防ぐ。
・ウイルス性羽毛疾患(PBFDウイルス)
原因・・・フンや脂粉についた病原菌のウイルスが空気中に浮遊して、それらを吸引により感染して発症する。
症状・・・粉状の脂粉が出なくなりフケのようなサヤガラが多くでるのが特徴で、胸部から腹部にかけての震えや、これまで見たこともないくらい怖がるような態度を見せるヨウムもいるようです。症状が進むと羽根の変形や脱毛、目、クチバシに異常がみられます。ただし、ヨウムは急性の場合が多く、羽毛など表面的な症状が現れる前に沈うつ、下痢、体重減少などがおこりだして1~2週間で落鳥する場合もあるので注意が必要です。
予防・・・感染した個体は隔離して接触を避けたり、栄養のある食事を与えます。
5. ヨウムの平均寿命
インコ科のヨウムの平均寿命は約50年といわれていますが、中にはそれ以上に長生きするヨウムもいるようです。
飼う前に、代替わりで飼うことも視野に入れておく必要があります。
2)ヨウムの性格の3大特徴
・温厚で賢い
飼い主にとても良く懐きコンパニオンバードとしても良きパートナーとなってくれそうなヨウムは、人間の5歳児にも匹敵するほどの知能を持つことで豊富な言葉を覚えます。
中には言葉の意味を教えるとそれらを理解するほど賢く、会話が楽しめるヨウムもいるようですよ。
・生涯に数回(2~4回)の反抗期
鳥類には珍しく反抗期があり、初めての反抗期は1歳半~2歳の時期が多く、その期間は1ヶ月から数ヶ月になることもあるようです。
反抗期になると急に攻撃的になったり、噛みつきがひどくなったり急に怒ったり、言うことを聞かないなどといつもより激しい自己主張を全面に押し出してくることがあるようです。
普段は雄叫びを上げるほど激しく鳴かないヨウムですが、反抗期になると雄叫びのような鳴き声をあげたり、羽根をバタつかせるなど乱暴になったりすることがあるようですから、飼う前の心構えとして覚えておくといいでしょう。
反抗期は生理現象ですから、時期がくれば必ず(個体差があります)いつもの控えめな気性に戻りますので、「反抗期はこんなもの」と気長に付き合ってあげましょう。
人間の反抗期と同じく、ヨウムも反抗期によって精神的に成長していくといわれています。
お世話をする飼い主さんも大変かもしれませんが、反抗期を乗り越えることでより強い繋がりが感じられる飼い主さんもいらっしゃるようですよ。
また気分屋なところもあるようで反抗期とは関係なくヨウムの中には、遊びなど日ごとに好みが変わることもあると心得ましょう。
・デリケートで臆病
高い知能を持つことから他のインコより自己主張がはっきりしています。
でもその反面、デリケートで臆病なところもありますので、遊びのつもりで怖がらせたり、罰として叩いたり大きな声で叱ったりするのは絶対にやめましょう。もしそれらをしてしまうと、そのストレスから毛引き症を引き起こしたり、体調を崩してしまう恐れがありますので注意が必要です。
デリケートで臆病なヨウムに対して特に気をつけたいことを以下にまとめてみました。
☆新しいオモチャを与えるとき・・・買ってきたばかりのオモチャをいきなりケージに入れると、驚いて近ずくことができません。
必ずケージの前に数日おいて警戒心をなくしたことを確認してから、ケージに入れるようにしましょう。
3)ヨウムの3つのタイプ
・ノーマル
・コンゴヨウム
ノーマルとコンゴヨウムのの2つのタイプに関しては、体色の違いがほとんどないため品種の識別がしにくいことからどちらも「ヨウム」として扱われていることがほとんどのようです。
とはいえ、ノーマルなヨウムよりコンゴヨウムのほうが、どちらかといえば体のサイズが大きめが多いようです。
ですがどちらも体長の違いのほかは、黒いくちばしと頭から首にかけての羽の一枚一枚に淡い彩色の縁取りがみられ、首から下は赤い尾羽に近ずくにつれグレーが濃いのが特徴的な美しい品種になります。
・コイネズミヨウム
先の2つのタイプと比べると、体長がやや小さめで尾羽が少し暗めの赤色、上くちばしが淡い褐色をしています。
いずれのヨウムも幼鳥期は黒目ですが、成鳥になると小さくなった黒目の周りが白くなり表情が豊かになります。
4)ヨウムのオスとメスの見分け方
オス・メスを比べると、ややメスのほうが小柄なのですが、この判断の仕方も個体差があるために、正確とはいえません。
オスであれば、頭の形が平ら、もしくは四角型をしており、目の周りには綺麗に丸く黒いリングが付いています。メスであれば、頭の形がやや丸みを帯びており、目の周りのリングも白い部分が多いです。
また、メスは尾羽の先端に灰色の縁取りが見られるようになり、オスは赤いまま、もしくは白いラインが入ることがあります。
5)ヨウムを飼う人に向いている4つのポイント
・掃除と片付けるのが苦にならない
インコやオウム類には脂粉が多く、散らかり原因になります。
一日に数回、フンや脂粉の掃除、エサの食べ残しや水の入れ替えなどをこまめに行ってあげる必要があります。
これらの掃除や取り換えなどを怠り劣悪な環境下では、ウイルスなどが原因の病原菌が発生する恐れがあります。
また、遊びの中でオモチャや段ボール、木片などは強固なくちばしで噛みちぎってそこいらじゅうに散らかします。
なんでもそうですが、動物は自分の排せつ物やエサの食べ残しや水に入れ替えが、当然のことながらできません。
それが苦になる要素が一つでもあるようでしたら、ヨウムを飼うことはおすすめできません。
以上のように掃除や片付けが苦にならず、わが子のようにお世話できる方が向いています。
・ヨウムの相手をする時間が毎日きちんと確保できる
寂しがり屋のヨウムは一人ぼっちで部屋に閉じ込めてばかりいると溜まったストレスが原因となり、毛引きや病気を引き起こしてしまいます。
時間が許す限りヨウムの遊び相手になってあげましょう。
・防音対策をした部屋が準備できる
普通に雄叫びをあげるキバタンなどと比べるとヨウムは声量が低くいものの口笛のような高音で鳴き声といわれています。
毎日のように鳴き声が近所まで響き渡ることで、ご近所とのトラブルに発展しかねないともいえませんのでヨウムがいる部屋は
しっかると防音対策をとることをおすすめします。
・何事も寛容な心で気長に付き合える
ヨウムを飼育するにあたり、根気強く気長に献身的なお世話ができるのか?しっかりと考える必要があります。
生涯に2~4回、数ヶ月にわたって続くヨウムの反抗期は、噛みつきがひどい・言うことをきかない・急に怒りだすなどの行動に過剰に反応せず、寛容な心で気長に付き合えることがとても大事になってきます。
ただ可愛からと甘い考えではいざ反抗期になった時に、飼ったことを後悔しても無責任に手放すことは許されないからです。
それともし、反抗期の変貌を視野に入れていたとしても、飽きっぽい人にヨウムの飼育は絶対にできないと断言します。
6)ヨウムのしつけの3つの重要ポイント
・呼び鳴きと朝晩に鳴く習性をやめさせる
寂しがり屋のヨウムは呼び鳴きが激しいことと、仲間に自分の安否を知らせるために朝と晩に鳴く習性があるようです。
呼び鳴きは飼い主への愛情表現といわれ、構ってほしい・一緒にいたいという思いが込められているそうですが、飼い主の姿がみえないと鳴き続け、
これに根負けして飼い主がヨウムの元へ行ってしまうと、「呼び鳴きする=飼い主が来てくれる」と覚えてしてしまいます。
このように覚える前に、飼い始めた初めのうちに呼び鳴が続いている間は決してヨウムの元へ行ってはいけません。
しばらくしてピタッと鳴き声がしなくなったら好物のおやつをもってヨウムのところへ行って、おやつをあげてしっかりと褒めてあげましょう。
そしてこの行動を呼び鳴きするたびに行うことで「鳴きつづけても来てくれない」「鳴かないで待っていると、おやつをもらえて褒めてくれる」と覚えていきますので根気強く続けましょう。
朝と晩の鳴き声には、仲間に自分の安否を知らせるためだといわれています。
ただ、毎日の早朝と夕方に鳴かれて困るときはそばに行って「○○ちゃん、大丈夫だよ」「ここにいるから心配しなくて良いからね」などと声をかけることで安心させてあげましょう。
・噛み癖
ヨウムの噛み癖をそのままにしておくと毎日のお世話が困難になったり、飼い主との関係にまで支障がでたりします。
しかも強靭なくちばしで噛まれるとケガは避けられませんので、遊びとしつけの区別をして根気強くしっかりしつけましょう。
また、注意しなければいけないのが、噛むことを「噛んじゃダメ」などと、漠然とただ叱るだけでは知能が高いヨウムには効果的ではないということです。
そこで、噛むことに対して何かしらの理由があることを知る必要があります。
考えられる理由は以下のようなものが考えられます。
・モノや飼い主に対しての不満
・単なる不機嫌
・環境にまだ慣れていない
・大きな音がしたなど怖い思いをした
・噛む加減がわからない
・飼い主より自分が優位だと勘違いしている・・・など
理由がわかれば、それを解決してあげると噛み癖をやめさせるためのしつけができます。
理由を知ろうともせずに頭ごなしに叱ると、知能が高いヨウムは飼い主に対し余計な不信感を抱かせることになり、関係もこじれてしまいますので絶対にやめましょう。
さらに記憶力も高いので、痛い思いや嫌な思いや恐怖感は死ぬまで覚えているといわれていますので、一時の感情による体罰や叱り過ぎは絶対にしてはいけないと肝に銘じておきましょう。
7)ヨウムを飼育する場合に特に気をつける4つのこと
・温度と湿度の管理
アフリカや東南アジアなどの高温で多湿な環境に住むヨウムは、温度と湿度の管理が必要となりますが、特に幼鳥期の温度管理は重要になります。
幼鳥期は温度が28℃以上といわれていますので、ゲージに小型のヒーターなどを取り付けてあげましょう。
湿度は50%を切らないように、適温は20℃~30℃といわれていますので 20℃を切らないように冬場は特に気を付けてあげましょう。
・1時間ほどの放鳥
普段はゲージで飼っていても、1日に最低1時間はゲージからだして放鳥してあげないと、ストレスをためてしまいますので気をつけましょう。
ヨウムを放鳥するときには、部屋の中に物を置かないようにしましょう。
なんでもくちばしでかじってしまいますので、電気のコードやコンセントなど火災や感電の恐れがあるようなものは、ヨウムのくちばしでも壊せないような硬いカバーを取り付けることをおすすめします。
ですが、オモチャや止まり木などは壊されることを前提に与えるようにしましょう。
・日光浴の重要性
ヨウムは食物からビタミンDを取り入れることがきないので、生きていく上で必要なビタミンDを日光浴でしか作ることができません。
日光浴をしないとビタミンD欠乏症になり最悪の場合、落鳥の恐れもあるからです。
ヨウムが日光に含まれるUVBを浴びることで、体内にあるコレステロールからプロビタミンD3(通称ビタミンD)が作りだされます。
このプロビタミンD3がカルシウムの吸収を高める働きをしてくれるのです。
できるなら毎日2時間以上の日光浴が理想なので、日光がよく当たる場所へゲージごと移動するか、何らかの理由で太陽による日光浴ができないときは、日光浴用のライトなどを準備してあげましょう。
日光浴用のライトは毎日使っていると効果が徐々に減っていくので、1年に1回は交換が必要です。
その他の日光浴の効果として、ストレス解消や体内の様々な機能を正常に保つなど、ヨウムが健やかに過ごせるためでもあるのです。
・水浴び
脂粉が多いヨウムは定期的にシャワーや霧吹きなどで水浴びを行わないと、脂粉が沈積することが原因となり毛引きを引き起こしてしまうので気をつけましょう。
また、ヨウムは体温が40℃前後もあることから個体差はありますが、水浴びを好むといわれています。
このときに間違ってもお湯をかけることはNGです!冬場の水浴びは寒そうだからとお湯をかけてしまうと、羽根に付いている油分が流され撥水効果がなくなってしまいます。
ですから冬場など寒い季節は霧吹きで十分なので、一年を通して行ってあげましょう。
8)ヨウムを飼う3つの魅力とは
・ものまね
高い知能と耳が良いので、テレビや人間同士の会話や日常の生活音などのものまねや声色が得意です。
覚えた言葉などを独り言のようにおしゃべりするのを見ているだけで楽しそうですね。
・高いコミュニケーション能力
鳥類の中で一番高い知能の持ち主といわれているヨウムは、言葉の意味を理解するほど!
ヨウムが聞き取りやすいように、はっきりとした発音で話しかけていると、気付けば会話ができる可愛い話し相手になってくれますよ。
ただし、言葉を覚えさせたり、会話をたくさんしたいからと無理強いはNGです・・・ヨウムの集中力はだいたい5分程度だそうです。
・スタイリッシュな配色の毛色
グレーのグラデーションと際立つ赤い尾羽。
単色のインコの中ではそのスタイリッシュな容姿がとても魅力的で、その容姿に心奪われる飼い主さんも多いようようです。
今回のまとめ
1)ヨウムの原産国は、西アフリカから中央アフリカ・体長はおよそ33cmで鳥の中では中型から大型になり、体重は300g~500g・
平均寿命は50年前後・気を付けるべき病気は胃腸炎・毛引き症・ウイルス性羽毛疾患(PBFDウイルス)。
2)ヨウムの性格の3大特徴は、・温厚で賢い・生涯に数回(2~4回)の反抗期・デリケートで臆です。
3)ヨウムの種類は、ノーマル・コンゴヨウム・コイネズミヨウムの3種類います。
4)ヨウムのオスとメスの見分け方は、オスは頭の形が平らか四角型で目の回りに黒くて丸いリングがあり、メスは頭の形が丸みを帯びて目の周りのリングも白い部分が多いです。
オスより頭が小さいところで判断で出来るそうです。
5)ヨウムを飼う人に向いている4つのポイントは、掃除と片付けるのが苦にならない・ヨウムの相手をする時間が毎日きちんと確保できる・防音対策をした部屋が準備できる
6)ヨウムのしつけの2つの重要ポイントは、呼び鳴きと朝晩に鳴く習性・噛み癖はしっかりしつける。
7)ヨウムを飼育する場合に特に注意する4つのことは、温度と湿度の管理・1時間ほどの放鳥・日光浴の重要性・水浴びです。
8)ヨウムを飼う魅力は、ものまねが上手・高いコミュニケーション能力・スタイリッシュな配色の毛色です。