ロップイヤーの可愛さは、大きくてテレンと垂れた耳とぺちゃっとつぶれたちんくしゃ顔です。ぬいぐるみのような容姿はウサギ好きにとってたまりません。
ロップイヤーの歴史
ロップイヤーは大きな垂れ耳が特徴のウサギで、原産国はスペイン、イギリス、オランダ、フランスなどのヨーロッパ諸国です。野生のアナウサギを家畜化したもので、中でもイングリッシュロップイヤー(イングリッシュロップ)はペットウサギとしてもっとも古い歴史を持つといわれています。
一番人気のホーランドロップは、1940〜50年にオランダのブリーダー、ドリアン・コックがフレンチロップとネザーランド・ドワーフを交配させて生み出しました。
ロップイヤーの特徴
ロップイヤーのLopは「だらりと垂れる」という意味です。その名前の通り香箱座りをすると耳が床に着いてしまうくらい垂れ下がっています。顔はペルシャ猫やパグ犬ののようなちんくしゃ顔。ウサギにしては小さめのつぶらな瞳が特徴です。
ロップイヤーの平均体重は4kgらい。一番小さいホーランドロップは2kg前後、大型種のフレンチロップは6kgを超えることもあります。一番耳が大きく垂れているのはイングリッシュロップです。子ウサギの頃は耳が垂れていない個体もありますが、大きくなるに従って垂れていきます。
ロップイヤーは5種類、見た目と性格が違います
ロップイヤーは原産国や体の特徴で5種類に分かれています。大きさや見かけに大きな違いがあります。「小さいロップイヤーを頼んだはずなのに普通のウサギよりも大きくなってしまった」そんなことがないよう、ペットショップで取り寄せてもらうときなどきちんと種類を指定しましょう。
・ホーランドロップ
オランダのロップイヤーです。ロップの中で一番小さく、日本での人気も一番です。大型種のフレンチロップと世界最小のネザーランド・ドワーフを掛け合わせてつくられました。丸みのあるからだと小さめの耳が特徴です。
警戒心が弱く人なつこい穏やかな性格です。カラーバリエーションは公式に認められているものだけで30種類を超えます。
・イングリッシュロップ
イギリス原産の最も古い歴史を持つロップです。野生のウサギから初めてペットとして改良されたのがイングリッシュロップです。
見た目は野ウサギのイメージを多く残していて、年を経た個体には貫禄と迫力があります。体重は4kg以上になります。耳の長さはロップ種の中でピカイチです。座っていても耳が地面に着きそうなほどの長さがあります。耳を両手で広げると70cmを超える子もいます。
臆病ですがおとなしい性格で、飼い主によくなつき甘えるような仕草をすることもあります。
・フレンチロップ
フランス生まれのロップです。イングリッシュロップとバタフライラビットから生まれました。ロップ種の中で一番の大型で成長すると体重は6kgを越えます。耳はイングリッシュロップについで長く広げると40cmくらいあります。
体は大きいのですが、見た目はホーランドロップのように愛らしく写真だけ見ていると区別がつかないこともあります。このギャップが人気を呼んでいます。
穏やかで人にもよくなつきます。おっとりしてはいますが、狭いスペースで飼ったり、運動が足りないとストレスがたまって怒りやすくなります。猫よりも大きな体から繰り出されるキックにはそれなりの破壊力があるの、常にリラックスできる環境を用意してください。
・ライオンロップ
ライオンラビットととも呼ばれます。名前の通り顔のまわりがたてがみのような飾り毛で覆われています。耳が垂れて飾り毛のある個体を指している呼称なので体の大きさや毛色はばらつきがあります。
性格は穏やかで頭のいいウサギです。名前の覚えも早くスキンシップも大好きです。その分、急に構われなくなると体調を崩すなど環境の変化には敏感です。
・ミニロップ
これらに含まれないロップです。違う種類のロップが交配してできる雑種の位置づけになります。見かけや性格は一定ではありませんが、ミックスの強みで頭が良く、丈夫で活発な子が多いようです。新しい環境にも順応しやすく飼いやすい種類です。
ロップのカラーはバリエーション豊富
ロップイヤーの毛色はバリエーション豊富で30種類以上あります。毛の色の付き方で3種類に分けられます。
・セルフグループ
ソリッドとも呼ばれ、体が単色の毛で覆われています。
・シェーテッド
一本の毛の色が毛先に向かってグラデーションになっています。耳や鼻先、脚、尻尾の先の色が濃く、背中からお腹にかけてグラデーションがかかっているように見えます。サイアミーズ、トータスシェル、セーブルポイントなどが含まれます。
・ブロークン
ホワイトをベースに違う色のブチが入っています。目のまわりや鼻、耳、背中に少しブチがある「チャーリー」、斑点状の「スポッテッドパターン」、縞模様のある「ブランケットパターン」、2色以上のブチのある「トリカラー」、パンダのような「パンダウサギ」もこのグループに含まれます。
ロップイヤー飼育のポイント
・種類によって環境を整える
ロップイヤーは2kgに満たないホーランドロップや6kgを越えるフレンチロップまで種類によって個体差が大きいので、それぞれに見合った環境を用意します。
小型のホーランドロップなら運動量も少ないので飼育スペースも狭くて大丈夫です。イングリッシュロップやフレンチロップなど、体が大きく耳も長い種類にはそれなりの広さが必要です。狭い場所に押し込めると耳を傷つけやすくなります。
ウサギにとってケージは巣穴と同じです。広すぎるのも落ち着かなくてストレスになります。餌箱や給水器、おもちゃなどを置いて、あとは体を動かす最低限の広さがあるくらいが適当です。
・耳掃除とブラッシングは必ず
垂れた耳の床に着いてしまう部分は汚れやすく、内側は湿気がこもるため不衛生になりがちです。どのウサギでも、長い耳は病気の原因になりやすいのですが、ロップイヤーにはより細やかな注意が必要です。
ウサギは猫のように飲み込んだ毛を吐き出すことができません。定期的にブラッシングしましょう。毛の生えかわる季節の変わり目には毎日のようにブラッシングしてください。ブラッシングは仲間同士で毛をなめ合う行為と同様スキンシップの基本です。
ロップイヤーの寿命
他のウサギと同様7〜8年が平均寿命です。飼育環境を整えるグッズが開発され、医療技術も進んだことで10年以上生きる子も増えています。
長生きをさせるにはストレスのない環境が大切です。
ウサギは犬や猫以上に見た目で体調を推し量ることが難しいので、定期検診を受ける習慣をつけましょう。
ロップイヤーのトイレのしつけ
ウサギのしつけの要はトイレです。小さい間にしつけておかないと大人になってからでは覚えてくれません。特にオスにはマーキングの本能があるので、放っておけば家中がトイレ状態になります。
ウサギにトイレを教えるのは難しいのは確かです。一般的なしつけ方として……
ケージ内に何カ所かトイレを用意します。ウサギがトイレの場所選んだら他のトイレは片付けます。
トイレを使ってくれないときは…
- トイレ以外の場所でやってしまったときは徹底的に拭き取ります。
- トイレの中にオシッコのニオイのついた砂やティッシュを入れて誘導します。
- トイレに行く仕草をしたとき、尻尾を持ち上げるので監察しているとわかります。さっとトイレに移動します。
トイレが上手にできたら褒めてあげましょう。
諦めず、怒ったりせずに、トイレの容器や砂を変えてみたり、ケージではなく部屋の隅に置いてみたりと工夫してください。
一緒に暮らすとき気をつけたいポイント
・野菜はおやつ程度にとどめる
ウサギの主食は牧草です。絵本やアニメの影響で「ウサギといえばニンジン」のイメージがありますが、ニンジンや芋類は栄養がありすぎます。人間でいえばお菓子ばかり食べさせているのと同じことになります。あたえすぎるのは肥満の元です。
チモシーやアルファルファといった牧草を中心にした食事を用意し、ペレットで栄養を補います。
・耳のお手入れは入念に
ウサギの耳は外耳炎や耳ダニ症にかかりやすいのでお手入れが欠かせません。ましてロップイヤーは耳は垂れていますから湿気がこもりやすく、耳垢がたまるとそれが原因で炎症を起こします。湿気と高温はダニの大好物でもあります。
・ウサギは飲み込んだ毛を吐き出せない
ウサギは毛づくろいで飲み込んでしまった毛を口から吐き出せません。毛がたまると毛球症を発症し下痢や便秘になります。重症化すると手術して毛玉を取り出さなければいけないこともあります。ブラッシングは欠かさず行ってください。
・その他のかかりやすい病気
ソアホックは、毛が抜けて皮膚が直接床などに触れることで炎症を起こす病気です。ロップイヤーは種類によっては耳の先が床に擦れていることがあります。毛が抜けていたり炎症を起こしていたらすぐに医師に相談しましょう。
骨折や脱臼にも注意が必要です。
まとめ・ロップイヤーはペットウサギの元祖です
耳が垂れて、ちんくしゃ、愛嬌たっぷりで漫画やアニメのキャラクターのようなロップイヤー。イギリスで生まれたイングリッシュロップはペットとしてつくられた最初のウサギだといわれています。
ロップイヤーはペットウサギの元祖です。ペットにするならこんなウサギがいい……そんな思いで品種改良が続けられ今では5種類が定着しています。彼らは同じロップイヤーでも見かけも性格も違います。はじめてウサギを飼う人でも素敵なパートナーになってくれるはず、あなたにピッタリのロップを見つけてください。