猿は動物園で見るものと思い込んでいませんか。難易度は高いですが正しい飼育方法を知っていれば、猿をペットで飼うことは可能です。とはいえ、猿をペットとして飼うにはいくつかの押さえておくべきコツがあります。今回は猿をペットにする飼育のコツ・注意点をお伝えします。
猿の紹介
1.原産地
猿とは「ヒトを除いた、いわゆる霊長類」です。猿は地球上の各地に生息し、200種類以上が存在しているといわれます。その中でもペットとして飼われる猿をここでは取り上げます。
現実問題として大型の猿を飼育することは困難であるため、ペットとして飼う場合には小型の猿がその対象となります。リスザル(コモンリスザル)やコモン・マーモセットといった体高は20センチから30センチほどの小型の猿が対象になります。
2. 平均体高・平均体重
ペットとして飼う猿は、体高20センチから30センチくらいの種類が中心となります。一般的には、大きくても体高60センチくらいまでの種類が限界になると考えられます。
3. 日本で飼育されている数・名前のルーツ
ペットとしての猿は犬や猫に比べると圧倒的にマイナーです。そのため、日本で飼育されている猿の正確な数は分かりませんが、ペット全体の割合から見ると1%未満だといわれています。猿(サル)という名前のルーツは諸説ありますが、「動物の中でも知恵が勝る(マサル)ことからサルと呼ばれるようになった」という説があります。
4. 平均寿命
猿は平均して15年から20年の寿命だといわれています。ペットとしては非常に長い期間生きる部類に入ります。そのため、最後まで世話を続けることが出来るかどうかをよく考えた上で、飼い始めることが必要です。
猿の4つの種類と特徴
1.リスザル
リスのように小さな体と色が特徴的な猿です。リスザルにはいくつかの種類がいますが、単にリスザルと呼んだ場合コモンリスザルを指す場合が多いです。体高は30センチに満たない位です。猿の中では、ペットとして比較的飼育しやすい種類になります。
2.ピグミーマーモセット
体高が10センチから15センチ程しかない、最小クラスの猿です。人間の指に止まっているかわいらしい姿がよく紹介されています。
3.スローロリス
体高26センチから40センチくらいの猿です。その名の通り動きがゆっくりスローで、大きな目が特徴的です。
4.フサオマキザル
体高30センチから55センチくらいの猿です。道具を使う非常に知能の高い猿として有名です。
猿の性格の4大特徴
猿は種類の多い動物ですが、やはりペットに適しているのは小型で比較的人に懐きやすいタイプです。リスザルやピグミーマーモセットなどがペットに向いています。
これらの小型の猿はケージで飼うことができるため、一般の家庭でも飼育が可能です。そして猿の性格ですが、性別よりも種類によって違いが出ますので、種類別に性格の特徴を紹介します。
1.リスザル
普段は大人しく、威嚇することはほとんど無いといわれています。人なつっこい性格です。
2.ピグミーマーモセット
愛嬌たっぷりで非常にかわいい見た目ですが、警戒心が強いため懐くまでに時間がかかります。また、物をかじって確かめる習性があるため、気をつけないと家の中の物をボロボロにされてしまうかもしれません。
3.スローロリス
夜行性でおとなしい性格をしているため、威嚇してくることはほとんどありません。
4.フサオマキザル
穏やかで争いを好まない性格です。臆病で、躾などで叩いたりすると長く憶えていて、極端に怯える場合もあります。
猿の飼育に適している人の4つの特徴
1.猿を診察できる動物病院がある人
猿を診察できる動物病院が近所にあると安心です。猿を飼う前にはまず、家の近くに猿の診察ができる動物病院があるか確認をしてください。必ずしも全ての動物病院が猿の診察が得意なわけではありません。
2.毎日世話ができる人
毎日、猿の世話を毎日きちんとできる人、その時間を確保できる人が好ましいです。旅行などで長期間、家を空ける場合には、代わりに世話を頼める人を見つけておきましょう。
3.飼育費用がまかなえる人
比較的、経済的に余裕がある人が向いています。猿の種類によっては、年間で数十万円規模で費用がかかります。猿を飼っていく長い年月に渡って、継続的に費用負担できることを確認しておいてください。
4.子供がいる場合は注意
子供がいる家庭では、猿が子供を格下に見下して攻撃的になってしまう可能性があるため、注意が必要です。
猿を飼う場合の初期費用と方法とは
猿は一部のペットショップや専門店で購入することができます。しかし愛玩用に猿を輸入することが制限されていることから、取り扱い数は限定的で価格は比較的高めになっています。
猿の価格は種類や地域、そしてその時に出回っている個体数によって変わってきますが1匹が30万円から90万円くらいです。
猿の飼育に必要な3つのグッズ
1.ケージ
小型の猿でも1メートルから1.5メートルくらいのサイズで、中で動き回れる広さを確保しましょう。小さすぎるケージでは運動不足になり、筋肉の衰弱や骨の変形といた症状が出てしまう可能性があります。
2.止まり木
ケージの中は止まり木を設置します。止まり木は丈夫な素材を選び、ケージの中間くらいの高さで、猿が休憩できるようにします。
3.餌・水やり用の容器
ケージ内を清潔に保てるものであれば、形はどの様な物でも大丈夫です。ただし、猿はかじってしまう性質があるため、丈夫な容器を準備した方が良いです。
猿の主な餌とその方法
猿には人間と同じ食事は与えないようにしてください(与えると食べてしまいます)。特に味付けした食事は病気になってしまう可能性もあるため厳禁です。
1.モンキーフード
エサは猿専用のフード「モンキーフード」を基本として与えてください。
2.果物
補助的にバナナやリンゴといった果物を与えると良いでしょう。
※また、一時的にであれば、子犬用のドッグフードで代用することも出来ます。食事の回数は、小型の猿であれば1日1回もしくは2回に分けて与えます。
猿の慣らし方の3つのポイント
1.できるだけ早い段階で主導権を握っておく。
猿は格下だと認識した相手を攻撃することがあります。ただし、猿に対して極端に怒ると恐怖でストレスをためることもあります。かといって、甘やかすとなめられてしまう可能性があるため、加減が難しいところがあります。
2.慣れてから大きいケージに移す。
最初から広いケージで飼ってしまうと、自分勝手に行動して慣れづらくなるため、初めは小さめのケージで飼いましょう。ケージから出すときは首輪とリードをつけてコミュニケーションを取ります。慣れてきたら大きめのケージに移して、足腰が弱らないよう自由に動けるようにします。
3.猿はされたことを憶えています。
猿は感情が人間に近い上に、されたことを憶えているため徐々に信頼関係を高めていくことが重要です。
猿の飼育で注意する3つのこと
1.排泄
猿はトイレの躾ができません。そのためオムツを着ける場合もあります。
2.発情
発情し頭に血が上った状態の猿は、非常にわがままな状態になります。
(3)病気
猿は人間に非常に近い種類の動物であるため、猿が病気になると人間に感染してしまう場合があります。例えば、結核、肝炎、ヘルペスなど注意が必要です。当然、人間から猿に病気が移るケースもあるため、お互いに病気になったときには出来るだけ接触しない注意が必要です。
猿をペットにする魅力とは
1.珍しい動物を飼うということ
珍しい動物を飼うということは難しくもありますが、それだけで大きな楽しみであり、喜びになるといえるでしょう。
2.猿とのコミュニケーション
猿は他の動物と比べて人間に近いこともあり、ペットとして飼い続けるために高度なコミュニケーションが必要になります。それが、逆に猿をペットとして飼うための楽しみのひとつになります。
今回のまとめ
猿の紹介
猿の4つの種類と特徴
猿の性格の4大特徴
猿の飼育に適している人の4つの特徴
猿を飼う場合の初期費用と方法とは
猿の飼育に必要な3つのグッズ
猿の主な餌とその方法
猿の慣らし方の3つのポイント
猿の飼育で注意する3つのこと
猿をペットにする魅力とは