わんちゃんの飼い主の中には散歩中に愛犬に急に立ち止まられて、動かなくなったり、バランスを崩してひっくり返ってしまった経験を持っている人がいます。
なぜ犬たちは立ち止まってしまうのでしょう?
今回は犬たちが立ち止まってしまう理由と、立ち止まってしまった時の対処法をまとめてご紹介します。
「うちの犬、家を出るときは張り切って出かけるくせに、この曲がり角に来るといつもピタッと動かなくなってしまう。」
「前から犬を連れた人が来るわけじゃないのになんで?」
犬を飼っていると多かれ少なかれそんなことがあります。
決まった場所でなく、急に立ち止まってビクともしなくなることも珍しくありません。
小型犬なら抱っこして帰るという手もありますが、体重が20kgを越える大型犬ともなるとそうもいきません。
散歩中に犬が動かなくなるのは……犬には犬なりの事情があるのです。
犬が散歩中に止まってしまう理由
犬が散歩中に動かなくなってしまう理由は大きく分けて、身体的なものと心理的なものに分けられます。
身体的な主な理由は
- 怪我をした
- 疲れた
- 具合が悪い
- 気になるニオイがある
精神的な主な理由は
- 過去のトラウマ
- 苦手なものがある(来る)
- 飼い主への甘え
が考えられます。
ひとつひとつ詳しく見ていき、最後にそれぞれの対処法を考えます。
犬が動かない身体的な理由
1.怪我をした
さっきまで元気に歩いていたのに急に立ち止まって歩かなくなる。
この時に一番に疑って欲しいのが怪我の有無です。
座り込んで足先などを舐めはじめたら、その場所もしくはその周辺を痛めていると考えて間違いないでしょう。
原因を取り除いてやらなくてはいけません。
2.疲れた
前日にたくさん運動をしたときなどは犬でも筋肉痛を起こします。
疲労もたまっているはずです。
散歩好きな犬の場合、はしゃいでいて元気なように見えますが、じつは疲れがたまっている状態です。
そのため、しばらく歩くと力が抜けたように座り込んでしまうことがあります。
3.具合が悪い
散歩や遊びが大好きな子は、多少具合が悪くても疲れているときと同様に、飼い主と出かけたい気持ちが先行して家を出るときは元気に飛び出します。
しかし、もともと具合が悪いのでしばらくすると動けなくなってしまいます。
4.気になるニオイがある
これは避けられないことです。
とくに前に通った犬がニオイつけをしていれば、その場所を嗅いで動かなくなるのは普通の風景です。
多くのワンちゃんたちの散歩コースと重なっているときは数メートルごとに立ち止まってしまうこともあるので困りものです。
また、食べ物のニオイや植物の香りを気にて止まってしまったり、魚や小動物の死骸に反応して体をこすりつけたりすることもあります。
犬が動かない精神的な理由
1.過去のトラウマ
犬は過去の出来事をとてもよく記憶しています。
仔犬の時にいじめられた人に対して、いつまでたっても冷たい態度をとったり威嚇したりするくらいです。
犬がいつも同じ場所で立ち止まるときは、過去にその場所またはその先でかなり嫌な思いをしたことを覚えている場合が考えられます。
他者から嫌なことをされたのではなく、なにかの原因で飼い主からひどく怒られたことがトラウマになっている可能性もあります。
2.苦手なものがある(来る)
現在、その場所に苦手なものがあれば、やはりその先に行くのを嫌がります。
特に原因になるようなものが見当たらなくても、犬の優れた嗅覚と聴覚で苦手な何かが近づいてくるのを感知していることも珍しくありません。
3.飼い主への甘え
こちらも過去の記憶が原因です。
何かの理由で立ち止まったときに飼い主が抱っこしてくれた。
同じ場所でその経験が繰り返されれば「ここで止まれば抱っこしてもらえる」ことを学習してしまいます。
また、動かないからとオヤツでつって歩かせることを繰り返していると「こうすればオヤツがもらえる」と覚えてしまって、オヤツ無しでは動かなくなってしまいます。
犬が動かない時の対処法
動かなくなってしまうには犬なりの理由があるのですから、その原因を取り除いてやることが必要です。
難しい状況もありますが、そこは徐々に慣れていくしかありません。
1.怪我をしているときの対処法
少し歩かせればどの足がおかしいのかわかります。それでもわからないときは、脚をひとつひとつ丁寧にチェックしましょう。
肉球と肉球の間にものがはさまって痛がっていることもあります。小さなトゲ程度なら抜いてあげれば元通り歩いてくれます。
そんなこともあり散歩の時、消毒薬を持っているとなにかと安心です。
ひと目でわかるような怪我の時や、脚を持つだけで痛がるようなときは、捻挫や骨折の可能性があります。
このような時はすぐに医師に見せてください。
2.疲れているときの対処法
疲れてしまって動きたがらないときは、そこから引き返しましょう。
方向転換すれば家に帰れることを悟って歩き出してくれるはずです。
どうしても動きたがらないときは無理をさせず、しばらくその場で休んでからゆっくりと戻りましょう。
3.具合が悪いときの対処法
ぐったりと座り込んでしまい(伏せの状態)どうしても動きたがらないときは、呼吸が荒くないか、目が泳いでいないかなど普段と違う様子がないか観察します。
しばらく休んでも動こうとしないなら医師に診せる必要があります。
小型犬なら抱っこして連れて行けばいいのですが大型犬ではそうはいきません。家族に車で迎えに来てもらうかタクシーを使って病院に連れて行くしかありません。
動けなくなった大型犬を運ぶとき、短距離の移動ならアウトドアで使う折りたたみ式の大きなキャリーがあると便利です。
「アウトドア 折りたたみ キャリー(カーゴまたはワゴンでも)」で検索するといくつもヒットします。
かなりの重量を運べるので大型犬でも大丈夫です。
4.気になるニオイがあるときの対処法
犬にとって散歩中にニオイを嗅ぐのはとても大切な行為です。
他の犬がつけたマーキングから相手の性別や体調、精神の状態まで、人間には思いもつかないような情報を引き出すことできます。
ニオイをかぐ行為を無理に止めさせるのは犬にとって大きなストレスになります。
かといって勝手にニオイをかがせて、あちこちひっぱられるまま、立ち止まるまま好きにさせていれば「散歩中の主導権は自分にある」と勘違いして飼い主のいうことを聞いてくれなくなります。
ニオイをかぐのを無理に止めさせるのではなく、もっと楽しいことがあることを教えてやるようにします。
やり方は簡単です。
いつも名前を呼んで自分の方を見たら褒めてやる習慣をつけておけばいいのです。
ニオイをかぐのも好きですが、飼い主に褒められるのはそれ以上に大好きです。
呼ばれて目を合わすことが習慣付いていれば、ニオイを嗅いでいるときでも名前を呼べば気をそらすことができます。
そのすきにリードをちょっと引いてその場を離れます。
全ての場所でニオイをかぐのを止めさせるのではなく、車や人通りが多い場所、他人の玄関先など立ち止まってはいけない場所を学習させてください。
すぐにできる対処法ではないので大変ですが、呼ばれたら反応するというのは、いけないことを止めさせるときにも必要です。
最初はオヤツで気を引いてもいいので、仔犬の頃から根気よく教えてあげてください。
5.過去のトラウマの対処法
犬は嫌な思いをしたことを決して忘れません。
過去にその場所で嫌な思いをさせてしまったのなら散歩コースを変えましょう。ただしそれは消極的な対処法です。
「私がいれば大丈夫だ」と犬に安心感を与えることができればコースを変える必要はありません。
これも飼い主と犬の信頼関係で乗り越えるしかない問題です。
6.苦手なものへの対処法
いつでもそこにあるものが苦手なら散歩コースを変えます。
いつも出会うワンちゃんが苦手なら、やはりコースを変えるか時間帯を変えます。
苦手なものを克服するために、犬の挙動がおかしくなったら名前を呼んで目を合わせ、嫌なものものからなるべく気をそらしてあげましょう。
7.飼い主への甘えの対処法
「要求されても応えない」ことです。
抱っこしない、オヤツをあげない、これしかありません。
犬もそこにいることが楽しいわけではないので何度か頑張れば諦めてくれます。
飼い主がめげてしまうと、やはり主導権を奪われて、いうことを聞いてくれなくなってしまいます。
まとめ
いつもの時間にいつものコースを散歩していれば、犬が急に立ち止まることは減ります。
それは犬にとっても見慣れた風景であり、ニオイもかぎ慣れているものがほとんどだからです。
でも、時間帯がバラバラだったり、散歩に行ったりいかなかったり、いつも違うコースを歩けば犬にとっては珍しいもの、わからないものだらけになってしまいます。
そんな状況で好奇心の強い動物である犬に「立ち止まるな」といっても無理があります。
小さい頃から名前を呼んで一緒に遊び、規則正しい散歩をタップリと楽しめば犬も散歩に慣れます。
そして「この人がいればどこにいっても安心だ」という信頼関係を築いておくことで犬の挙動も落ち着いて「急に犬が立ち止まってひっくり返ってしまった」なんて痛い目に遭うこともなくなります。