海の生き物をペットにするというと、大掛かりな水槽などが必要となるため、通常は簡単に飼うのをためらってしまいます。でもユーモラスな姿と動きで人気のオカヤドカリの飼育であれば、そんな必要はありません。部屋に南国のムードの中を運んでくれるオカヤドカリを、飼育してみましょう。
オカヤドカリの紹介
1.オカヤドカリとは
オカヤドカリは熱帯地方に広く生息しているヤドカリの仲間です。なお「オオヤドカリ」と名前の付くヤドカリもいますが、こちらは「サメハダオオヤドカリ」など、オカヤドカリとは別の種類になります。
2.原産地・平均体長・平均体重
オカヤドカリは、台湾以南のインド洋や太平洋諸島などの熱帯地方が原産地で、広く分布して生息しています。日本でも南西諸島や小笠原諸島を中心とした暖かい地域に生息しています。成体はその名前の通り、海岸近くの陸上で生活します。体長は1センチメートルから7センチメートルくらいで、脱皮の度に成長していきます。平均体重は体長サイズによって異なりますが、殻を被っていない状態で3グラムから4.5グラムくらいになります。
3.名前のルーツ・簡潔な歴史とは
オカヤドカリという名前は、成体になってからの生活場所が陸上(オカ)であることに由来します。日本では1970年代に天然記念物として指定されましたが、南西諸島などの生息地では、ありふれた生き物であると言われています。その後、限定的に捕獲が認められたことに伴い、ペットとして飼われる様になりました。したがって、きちんとしたがって業者やペットショップから購入したオカヤドカリを飼育することは、文化財保護法違反にはなりません。
4.平均寿命 とは
オカヤドカリの寿命ですが、普通に飼育していれば5年から10年くらい生きます。本来の寿命は25年から30年くらいはあると言われています。
種類の解説!オカヤドカリの3つの種類と特徴とは
オカヤドカリの仲間は世界に広く分布しています。その中でも、日本で入手しやすい種類を紹介します。
1.オカヤドカリ
インドから西大西洋に広く生息し、日本にも比較的多く生息している種類です。体は褐色です。
2.ムラサキオカヤドカリ
小笠原諸島や鹿児島以南に生息しており、日本では一番多く見られる種類です。名前の通り体色は紫色や灰色がかった色をしています。キリッキリッという音を出すという特徴があります。
3.ナキオカヤドカリ
インドから西大西洋に広く生息している種類です。ムラサキオカヤドカリとともに日本で多く見られる種類です。淡いベージュや茶褐色の体色をしています。ギイギイやギコギコといった音を出すね特徴があります。
どんな人が向いている?飼育に適している人の3つの特徴
1.世話に手間が掛けられない
オカヤドカリは、比較的世話に手間のかからないペットです。飼育環境のメンテナンスも頻繁に行う必要はありません。また、餌も小食で何でも食べます。そのため、飼育する際の世話に、多くの手間を掛けられないという人には向いていると言えます。
2.長く飼育できる
オカヤドカリは長生きなペットです。平均で5年から10年くらい生きます。上手く飼えば、10年以上飼うことができるかもしれません。そのため、長く飼育できる人が向いていると言えます。
3.構い過ぎない
オカヤドカリはとても臆病な動物です。人に慣れることはありませんし、人を見ると物陰に隠れてしまいます。人に慣れるペットと同じ感覚で飼うと、少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。あまりオカヤドカリに構い過ぎず、飼育ができる人に向いていると言えます。
オカヤドカリを飼う場合の初期費用と方法とは
オカヤドカリはホームセンターやペットショップで購入することができます。大きさなどで値段が変わってきますが、一匹あたり200円から1,000円くらいで購入することができます。オスとメスで値段の違いはありません。
グッズを整えよう!飼育に必要な4つのグッズ
1.ケージ
オカヤドカリを飼育するためのケージを用意します。ヒーターを使うことを考えると、プラスチック製ではなく、ガラス製が安心です。オカヤドカリの大きさと飼育する数によって用意する大きさは異なってきますが、5匹までであれば45センチメートルから60センチメートルサイズのケージが適当です。
2.砂
ケージの底には砂を敷き詰めます。サンゴ砂であればオカヤドカリの生息環境に近くなるため、最適です。オカヤドカリの2倍から3倍の量を使います。
3.貝殻
オカヤドカリが入るための貝殻を用意します。脱皮の度に大きな貝殻が必要になるので、異なる大きさを複数用意しておきます。買ったばかりの貝殻は一度お湯で洗い、海水などに浸けておくとオカヤドカリが入りやすくなります。
4.ヒーター
オカヤドカリは熱帯地方の生き物です。そのため、寒さには弱いのでヒーターて温度を20度から25度くらいに保つようにしましょう。15度以下になると活動が鈍り、更に温度の 低い状態が続くと死んでしまうことがあるため注意が必要です。
給餌方法解説!餌の主な4種類と正しい与え方
オカヤドカリは雑食のため何でも食べます。そのため、栄養バランスに気を付ければ餌を手に入れるのに困ることはないでしょう。なお、餌の量ですがオカヤドカリは小食のため少し与えれば大丈夫です。小さいオカヤドカリであれば、1日に小指の先くらいの大きさの餌を与えれば十分な量です。
1.ヤドカリ用フード
ペットショップやホームセンターには、ヤドカリ用フードが売られています。栄養バランスが取れているので、これをメインの餌として与えるのが良いでしょう。
2.肉・魚
タンパク質の補給になります。小さなサイズにちぎって与えてください。
3.野菜類、果物
食物繊維やビタミン類の補給になります。ニンジンやサツマイモなどを切って与えます。果物を与えても全般的に食べます。
4.真水
餌とは別に真水を飲み水として与えてください。水道水を与える場合には、カルキしたものを与えるようにしてください。
この病気には注意・・オカヤドカリに多い3種類の病気
実はオカヤドカリがどんな病気にかかるか、よくわかっていません。そのため、オカヤドカリの状態を見て体調の良し悪しを判断する必要があります。
1.脱皮不全
オカヤドカリにとって脱皮は命がけです。脱皮は通常砂の中で行われますが、脱皮をしていることに気づいたらストレスを与えないよう、できるだけそっとしておきましょう。複数匹で飼っている場合、可能であれば他のオカヤドカリとは隔離します。脱皮間は砂の掃除も控えた方が無難です。また湿度が低すぎると脱皮に失敗する確率が高くなります。湿度は70%以上になるように保ってください。ちなみに、脱皮した後の抜け殻はそのままにしておいてください。オカヤドカリは脱皮後の抜け殻を食べることでカルシウムを補給するからです。
2.貝殻から出てこない
オカヤドカリは危険を感じると貝殻に身を潜めてしまうことがあります。そのような場合も、元気であれば少し経ってまた顔を出してきます。しかし、ずっと貝殻に身を潜めたままだというのは、何らか体調を崩している可能性が高くなります。原因が特定しづらいため対処の方法が限られますが、ケージの砂を洗浄するなど飼育環境の改善を行いましょう。なお、死んでしまうとオカヤドカリは貝殻の中に留まる力が無くなるため貝殻から出てしまいます。
3.貝殻から抜け出してしまう
オカヤドカリは貝殻を拾って変えるときなど、一時的に貝殻から抜け出すことはあります。しかし、貝殻から抜け出したまま何日も過ごしているときは注意が必要です。それは、飼育環境の悪化によりストレスを感じている可能性が高いからです。そのままだと他の病気にかかってしまったり、死んでしまう可能性があります。オカヤドカリがずっと貝殻から抜け出したままの場合は、砂や水が汚れていないか、餌が腐っていないかなどの飼育環境を見直ししましょう。
要注意!飼育で特に注意する3つのこと
1.温度
オカヤドカリは温度が低すぎると、活動が鈍り最悪死んでしまいます。温度が低くならないよう気を付けてください。ただし、ケージ全体を暖める必要はありません。ケージの一部を暖め、オカヤドカリが適温を探せるようにしておけば大丈夫です。
2.湿度
湿度は高めの70度くらいに保っておいてください。とくに脱皮の際はに度が低すぎると、脱皮不全を起こしてしまう可能性が出てきます。飲み水を兼ねた、水入れをケージに入れておくと安心です。
3.脱皮
オカヤドカリが一番命を落としやすいタイミングが脱皮です。この時だけは、注意して環境を整えてあげましょう。過剰に世話をする必要は全くなく、むしろ見守るだけでいいのですが、湿度を高めに保ち、可能であれば海水(人工海水でも良い)を用意することで脱皮の失敗を防げます。
ここが楽しみ・・オカヤドカリの飼育の魅力や喜びとは
オカヤドカリを飼育する魅力の第一はそのユーモラスな姿と動きです。また、ケージの中をうまくディスプレイすることで南国の雰囲気を出すことができ、家の中にリゾート感を持ち込むことができます。飼育の手間も、それほどかからないというのも、やはり魅力のひとつです。
今回のまとめ
オカヤドカリの紹介
種類の解説!オカヤドカリの3つの種類と特徴とは
どんな人が向いている?飼育に適している人の3つの特徴
オカヤドカリを飼う場合の初期費用と方法とは
グッズを整えよう!飼育に必要な4つのグッズ
給餌方法解説!オカヤドカリの餌の主な4種類と正しい与え方
オカヤドカリに多い3種類の病気
要注意!飼育で特に注意する3つのこと
ここが楽しみ・・オカヤドカリの飼育の魅力や喜びとは